2023年、ガールズケイリン史上最速で500勝を達成
ガールズGP3連覇、史上最速で500勝など輝かしい戦歴の児玉碧衣。大怪我を乗り越え、輝きを取り戻したプロセスは決して平坦ではなかった。
プロフィール/児玉碧衣(福岡・108期 L級1班)
生年月日:1995年5月8日/出身地:福岡県/血液型:O型/
主な獲得タイトル:ガールズグランプリ3連覇(2018年~2020年)など/ J K A 表彰歴:ガールズ最優秀選手賞(2018年~2020年)500勝選手賞(2023年)など
どん底からの2023年スタート
― 昨年末のガールズグランプリ(以下、ガールズGP)での落車で負傷し、厳しい2023年スタートになりましたね。
そうですね。初めて骨折(左鎖骨の粉砕骨折)して。こんなに痛いものかと(笑)。お正月も病院で迎えて、1月4日に手術でした。とにかく痛かったです。
― でも、1月久留米で早々に復帰していますよね?
はい(笑)。周りにも『早い』と言われましたね…。焦りがありました。年末の事を考えると、少しでも『賞金稼がないと』って。でも、〝立ち漕ぎ〞すらできない状態でしたし、レースも思うようにいかなかった。やはり復帰は早すぎたかな?とは思います。本調子に戻るまで時間がかかりました。
― 挫折感は無かったのですか?
自分が思う乗り方で走れなくて『もうトップに戻れないかも』って。初めての骨折でしたから、どう治したらいいかもわからなくて。競輪は左回りなので、左鎖骨が痛いと、本来のレースが出来ないし、進まない。ずーっと思うように乗れなかったのが辛かった。そんな中、エゴサーチ(自分をネットで検索)していたら、『児玉はもう終わったな』とか『もう児玉の時代は来ない』など書かれていて、いちいち落ち込んでいました(笑)。オッズも以前みたいに1番人気にならなかったりして、売れていない自分にモヤモヤして。その代わりプレッシャーからは解放されていましたが(笑)。手術した箇所のワイヤーを4月くらいに抜いてから、ようやく身体と自転車が馴染んできましたよ。
― そんな中でも7年連続でファン投票1位に選出されました!
自分でもビックリしました。やはり『ファン投票』はインパクトある心に残るレースをしてこそ、お客さんの印象に残るので、不甲斐ないレースばかりしていた自分が1位なんて信じられなかった。裏を返せばお客さんに〝頑張れ〞ってエールを頂いているような感覚でした。だからオールスターは、いつも以上に『お客さんの為に』と感謝の気持ちで戦いました。結果、ガールズドリームレースで優勝し、恩返しが出来てホッとしました。
新設GⅠでも存在を誇示
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新設された「パールカップ」を制し、ガールズケイリン初GIウイナーになりました。オールガールズクラシック(以下、オールガールズC)でも決勝に進んでいます。
パールカップはギリギリ調整が間に合った感じでした。怪我から復帰後で考えると一番良い状態で臨めましたし、自分は怪我からのスタートで獲得賞金も全然少なくて。でも勝てば『グランプリ確定』というレースだったので、目標にしやすかったし、モチベーションを維持しやすかった。こういうGIが出来たことは、自分にはプラスですね。
― 史上最速で500勝も達成しました。
〝史上初〞とか〝史上最速〞とか、ガールズケイリンの記録に刻まれていくので、自分の名前を残したいとは思います。以前はあまり意識しなかったのですが、ガールズGPの『史上初の3連覇』って言われてから、そういうフレーズに敏感になりました。
― オールガールズCで惜敗した際、かなりナショナルチームを意識したコメントもされていました。
滅茶苦茶意識していますねー(笑)。以前は姉弟子がナショナルチームの小林優香さんで、関係性を悪くしたくなかったので、あまり『ナショナルに負けたくない』といった発言は控えていました。もちろん、世界と戦っているわけですからリスペクトしているし、強いし。『何でこんなに強いんやろっ』とか悔しい気持ちにもなります。ただ、ガールズケイリンを年間通して走っているのは自分達で、プライドもありますからね。でも、ナショナルチームを含め、ガールズケイリン全体のレベルがとても上がっていると思うんですね。自分自身、ほぼベストの上がりタイムが出ていても勝てない日があるし。周りの後輩達はウェイトトレーニングとか、街道練習を取り入れたりして頑張っている。私も今までとは考え方を変えてウェイトトレーニングにも取り組もうと考えています。
女王に3度君臨!!
― 3度の女王に輝く中、重圧は?
最初のガールズGP制覇のときが一番緊張しました。私、結構緊張するタイプで、ハンドル握る手が震えたりした事もありましたよ。いつも『勝たなきゃ』って思いが強いので。ただ、今だから言えますが、3連覇したときは『多分、勝てないだろうな。私に3連覇なんて無理無理っ』くらいの気持ちでした。それが結果的には良かったのかも。リラックスしていて力を出し切れました。
― 4度目の女王へ、ファンの期待感は高いと思います。
去年は落車して、再乗できず、ゴールすらできなかったので悔しかった。サトミナ(佐藤水菜選手)もオールガールズCを勝ってグランプリ出場決めているし、ナショナルチームのメンバーも乗ってきます。他のメンバーも強いから大変なんですが〝何が何でも勝つレースをしたい〞と気持ちは入っています。
― 最後にガールズGPではどんな姿を見て欲しいですか?
自分の良いところは『お尻を下した時のダッシュ力、加速感』が持ち味だと思っているので、そこを見て欲しいです。あと、『まだまだ児玉の時代は続くぞ』と思ってもらえるように勝ちたいので、オッズパーク会員の皆様、応援よろしくお願いいたします!!
― ありがとうございました。
児玉碧衣選手はデビューしてから全出走のうち1着となったレースは83.5%と非常に勝率が高い選手です。バンクの周長別では、333バンク(335mの前橋を含む)は80.0%、400バンクは84.3%、500バンクは80.6%とそこまで大きな差は出ませんでしたが、バンク別では差が出ています。10走以上したバンクで最も勝率が高かったのは27走中26勝(勝率96.3%)の武雄バンクです。また、24走中23勝(勝率9 5 . 8%)の佐世保や1 6 走中1 5 勝(勝率93.8%)の高松、15走中14勝(同じく勝率93.8%)の広島も勝率が高いです。続いて取手、富山、向日町、松阪も勝率90%以上となっており相性が良いバンクと言えます。また、特別競輪での勝負強さがあり、特にガールズGPは6回中3回優勝、2023年に開始したGIは2回中1回優勝とそれぞれ50%の優勝率です。
前述のとおり、武雄、佐世保、高松、広島、取手、富山、向日町、松阪では勝率90%を超えており、中でも松阪は2021年にガールズケイリンコレクションの優勝歴があります。2024年3月にはバンク相性の良い取手でガールズケイリンコレクションが行われる予定なので、出場した場合は車券を買ってみてください。そしてこれらのバンクで特別競輪が行われる場合には、ぜひ児玉選手を狙ってみてください!
太田 理恵
1992年6月22日東京都生まれ、東京大学大学院卒、ミス・ワールド2 0 1 4・2015・2020日本大会
特別賞。2023東スポ競輪アンバサダーを務める。