日野未来選手プロフィール
1993年 1月 26日生まれ。大分県大分市出身。
日本競輪選手会奈良支部所属のガールズケイリン選手。ホームバンクは奈良競輪場。114 期。
大のばんえい競馬好き。元グラビアアイドル。

馬体重1トンを超える馬が重りをのせた鉄ソリを引き、パワーと速さ、持久力を競う世界でたったひとつの競馬“ばんえい競馬”。大のばんえい競馬ファンを公言する日野未来選手に、その魅力をたっぷり語っていただきます。

ばんえい競馬のファン日野選手が魅力を案内

 十勝ブルー(十勝晴れ)と呼ばれる透き通る空の広がる北海道帯広。今回の主役は『めっちゃ楽しみ!』とガッツポーズするガールズケイリンの日野未来選手です。そんな、日野選手は自他ともに認めるばんえい競馬好きだそうで、『当てやすいから好きになっちゃいました。』とプライベートで何度も帯広競馬場を訪れるほど筋金入りの大ファン!隅から隅まで知り尽くした〝ばんえいマスター〞日野選手だからこその楽しみ方をご案内します。

ガールズケイリンとは?

 旅打ちに出かける前に、日野選手が活躍するガールズケイリンについて少しだけご紹介。1949年から15年間開催された「女子競輪」。一時の活動停止を経て、2012年に「ガールズケイリン※」として復活しました。(※アマチュアのエキシビションとして2008年から開催)
 1期生33人で始まったガールズケイリンも11周年を迎え、現在約190名と選手数も着実に増え、競技レベルも年々向上。今年からはユニホームの基調の色が〝強さ〞を強調する黒へと刷新されました。年末の大一番「ガールズグランプリ」の格付けが「GP」へと変更されたり、3つの「GI」が新設されるなど、人気急上昇の競技です。

多彩なバックグラウンドの選手たち

 魅力的なのは、その選手たち。彼女たちは、日本競輪選手養成所での約10ヶ月間の厳しい訓練を乗り越えてデビュー。教師や美容師、看護師、自衛官、さらにはアイドルまで、多様なバックグラウンドを持つ選手たちが、同じコーナーで競り合いながら1着を目指す。
 『アイドル時代は歌とダンス。いまは、毎日自転車でトレーニング漬け。ムキムキの足が自慢です。』と話す日野選手もプロアスリートのひとり。彼女たちの経歴の多様性は、観る側にとっても新鮮で興味深い要素です。

他の公営競技で賭けるのが大好き!

 日々、ガールズケイリンでライバルと競い合う日野選手ですが、休日の楽しみといえば「公営競技でのギャンブル」だそう。『自分たちと同じようにすべてをかけてぶつかり合うレースを見て賭けるのが大好きなんです。』と話す日野選手が、いま最もハマっているのが「ばんえい競馬」です。
 ばんえい競馬は、どの馬が一番速く走れるかを競う通常の競馬とは違い、どの馬が一番力持ちであるかを競います。ちなみに、通常の競馬は鼻先でゴールが決まりますが、ばんえい競馬では、曳くソリの全てがゴール板を通過した時点でゴールとなります。

十勝のグルメをペロリ

 ばんえい競馬がはじまるのは14時。まだ少し時間のある日野選手が向かったのは「六花亭 帯広本店」。六花亭といえば全国的に人気を誇る、北海道を代表するスイーツブランド。今回の日野選手のお目当ては定番のスイーツじゃなく、農業王国「十勝」の食材を使ったランチ!日野選手の眼の前に広がるのは、十勝の旬のメニューたち。
 十勝の旬の「新大根のピザ」、洋食文化を広めた「智宏風ハヤシライス」を食べた後は、「マロンパイ」など、六花亭のスイーツもぺろりと完食。旅打ち前のご当地グルメは、まだまだ続きます。
 十勝・帯広と言えば外せない「高橋まんじゅう屋」のチーズおやきを、食べ歩きでほお張ると、そのまま向かったスイーツ店「クランベリー」では、顔よりも大きいスイートポテトをお土産で購入。事前にリサーチしてきた十勝のソウルフードたちを堪能した日野選手は、ご満悦で、ようやく帯広競馬場へ向かうのでした。

いよいよ旅打ち!場内神社で必勝祈願

 さて、日野選手が着いたのは、レース開始2時間前。興奮を抑えるために、まずは「馬の資料館」で十勝の馬の歴史や文化を学び、ふれあい動物園でばん馬と触れ合い、その大きな体と優しいまなざしにうっとり。
 開始1時間前、ドキドキが抑えきれなくなってきた日野選手が立ち寄ったのは、場内にある「十勝輓馬神社」。願いは唯一つ、「的中」の二文字。必勝祈願を終えて準備万端。まずはパドックへと向かいます。
 カメラマンが声をかけると『ちょっと待って。馬とジョッキーの状態を見ているんで!』とピシャリ。すでに勝負師に変貌したご様子の日野選手。パドックを見つめる真剣な眼差しは、少々、声をかけづらい。まさに、その表情はレース前スタートに集中するガールズケイリン選手そのもの。とはいえ、ここは競輪場ではありません。14時の第1レースの開始の合図が馬券師・未来の号砲。馬券師にとっては血が沸き立つ特別な時間の始まりです。

足早に向かう場所はパドック

新聞片手にかっこよく予想をズバリ!予想を終えると一言。『次のレースは、今井千尋騎手のレースだよ。めっちゃ楽しみ!』
 ファンファーレが鳴り響き、いざ出走。ここで注目!ばんえい競馬は直線距離で争われますが、そのスピードは、出走馬を歩いて追いかけられるほど。見物客たちは「がんばれー!いけー!」と声を出しながら、ぞろぞろと伴走できちゃうんです。その名も「エキサイティングゾーン」。
 ここから歩いて見るレースこそ、ばんえい競馬の魅力の一つ。何より、サラブレッドの2倍近くある「ばん馬」が1トン近いソリを引っ張る迫力は圧巻!『めっちゃ興奮しませんか?』と話す日野選手も、少々興奮気味のご様子。さらに、日野選手の熱のこもった解説は続きます。
 『ばんえい競馬の直線コースには、土手のような障害物があって、特に2つ目の障害の手前でばん馬が止まるんです。レース中に馬が止まるってすごくないですか? 騎手と馬が息を合わせて登り切るタイミングを計っているんです。しかも、障害を超えた後も止まったりするんで、その駆け引きや息づかいを感じながら当てるのが醍醐味なんです。』

面目躍如で満面の笑み

時は流れ、気づけば7レース目。観戦場所も3階の「プレミアムラウンジ」へと移りました。場内の昭和レトロ食堂の看板メニュー「元祖カレーラーメン」をすすると『めっちゃ美味しい!』と笑顔を見せてくれる日野選手。果たしてレースは…。『やったー!勝った!勝った!勝ちました。』と本日最大級の笑顔。見事に馬連を当てて、馬券師の面目躍如!
 世界で唯一の「ばんえい競馬」は、いかがでしたでしょうか?巨大なばん馬の迫力を感じられるのがばんえい競馬の魅力です。競馬場に足を運べない方も、ばんえい競馬の馬券はオッズパークで購入可能。
 レースは基本的に土・日・月曜日に開催(別の曜日に開催される場合もあり)され、ナイター開催もやっています。迫力のばん馬のレースや十勝の絶品グルメを満喫しに、ぜひ「ばんえい十勝」に足を運んでみてください。

今井千尋選手 プロフィール
北海道新十津川町出身。
今井茂雅厩舎所属。ばんえい競馬騎手。
2022 年、18年ぶりの女性騎手として注目を浴びる。好きな色は青。

女性アスリートである、ばんえい競馬の騎手、今井千尋さんとの対談。アスリートとしての共通点、それぞれのスポーツへの情熱や挑戦、日常のエピソードなど、女子トークをどうぞ。

日野未来(以下、日野): 今日は、同じ公営競技の選手としてよろしくお願いします。千尋ちゃんだから、ちーちゃんでいいですか?
今井千尋(以下、今井): はい。私はみーちゃんと呼びますね。
日野: ちーちゃんは、どうしてジョッキーに?
今井: 地元で育ち、厩務員(きゅうむいん)として働きはじめたんですが、レースを見るたびに「かっこいいな」と憧れが強まり、ジョッキーに転向しました。
日野: 厩務員からジョッキーになるって大変だったのでは?
今井: 馬にはいつも触れていたので、実技よりも学科試験に苦労しました(笑)。
日野: 私と同じ!高校を中退してアイドルを経て、競輪選手を目指したときに高かったハードルが学科試験でした。
今井: みーちゃんは、どうして「ばんえい競馬」ファンになったんですか?
日野: ギャンブルが好きで、色々な競技を見てきたんだけど、偶然「ばんえい競馬」を生で見る機会があって、そのときに一瞬で虜になっちゃったんです。だってあの大きな体を使って、大きな重りをひっぱって障害を超える力強さは、もう感動しかなかった。そんな中で、ちーちゃんのデビューのニュースを見て「絶対!応援したい」って思ったんです。
今井: ありがとうございます!
日野: ちなみに、ちーちゃんは競輪を見たことありますか?
今井: 映像では見たことあるけど、生で見てないんです。
日野: ちーちゃんには、絶対見てほしいな。今日はこのあと重賞レースもあるんですよね?
今井: 手応えはあるんですが、頑張ります。私はトレーニングを積むことで自信も高まるんですが、みーちゃんはどうですか?
日野: ガールズケイリンは、4日間レースがあり、その後に1週間トレーニングというサイクルです。ほぼ毎日トレーニング漬けです。1年の大半を自転車に乗っている感じなので、ムキムキの足ですが歩くと疲れちゃう。
今井: 私も1年の多くを馬に乗っているので一緒ですね。その代わり、ばんえいのジョッキーは手綱で指示を出すので、僧帽筋※あたりが異常にムキムキなんです。( ※ 僧帽筋/そうぼうきん:首から肩や背中の上部にかけてつながっている背中の表面の筋肉)
日野: 女子の筋肉トーク嬉しい!
今井: 日頃、他のアスリート女子と話す機会がない中で、筋肉トークは嬉しかったです。ガッツリムキムキの競輪選手はかっこいいです。ありがとうございました。
日野: こちらこそです。同じ公営競技の女子選手として頑張っている姿がキラキラしていてすごく楽しかったです。ありがとうございました。

ばんえい競馬とは?

ばんえい競馬は、1953年(昭和28年)に帯広市、北見市、岩見沢市、旭川市の4市で市営ばんえい競馬として発足しましたが、2006年に帯広市以外の3市が撤退し、2007年から「ばんえい十勝」として唯一、帯広市のみで開催されています。敷地内には、馬の歴史や文化を知ることができる「馬の資料館」やふれあい動物園、十勝の特産品が買える「とかちむら」もあり、多くの観光客が訪れる場所となりました。

ばんえい十勝(帯広競馬場)
〒080-0023北海道帯広市西13条南9丁目
帯広駅バスターミナル12番乗り場から、「帯広競馬場前」停留場で下車