阿部 光雄/プロフィール
元オートレース選手・「Webike TEAM NORICK YAMAHA」監督。新潟県出身。
オートレース選手養成所第6期卒。川口オートレース場所属の選手らと共に「川口四天王」と評されたレーサー。雨の日のレースが強いことから、「雨光雄」との異名を持ち数々のグレードレースを制した。2015年引退。

各競技で一線級で活躍された元騎手・選手を招き、プロの視点から見た、レースや予想のポイントを徹底解説していただきます。

 オートレースは、レース前に「試走」を行います。ここで「選手の状態」を判断してください。試走タイムも重要ですが、それ以上に大切なのが、実際のレースで走行する「ライン」を通っているかどうかです。タイム計測の際に、外からスピードを乗せて計測周回に入り、最後も全速で試走を終わらせる選手のタイムは少し割り引いて考えてください。この走り方は「レースでは走らないライン取り」であり、タイムを出すだけの走り方です。選手は「今の自分で目一杯行ってどのくらいタイムが出るか?」という自身の判断材料にもします。そういった走りをする選手が多いのです。「車券戦術」のための比較では、「タイムを出しに行った選手」の試走タイムを鵜呑みにしてはいけません。試走タイムだけではなく、その試走での走行ラインにもしっかり目を配ってください。
 そして、オートレースはハンデレースが主体でもあります。強いレーサーになればなるほど後ろからスタートします。その中でも重要なのは“スタート力”。出走表に掲載されている「スタートタイミング」についてですが、オートレースのスタートは「クラッチの放し方と、アクセルの開け方」が重要です。一瞬の“タイミング”よりは、その後の操作が大きな意味を持ちます。タイミングはあくまで参考程度にして、スタートの良し悪しについては、オッズパークの予想情報などに記載されているスタートの評価などの方を重要視したほうが良いでしょう。

 オートレースにも、選手が得意とする勝ちパターンがあります。大きく分けると“逃げ”と“追い上げ”の2点。その中でも、「前に誰もいない」レースを得意とする選手がいます。裏を返せばその選手が追い上げなくてはいけない「ハンデ」では、少し疑いを持って見る事が必要です。このあたりの情報は、各レース場の中継で私の後輩にあたる元選手の解説者が説明してくれます。それをしっかり聞いてください。
 そして車券を買う際に、「本命で勝負しよう」と考えている場合は、やはりSGレーサーが本命を背負っているレースが良いでしょう。なぜなら、選手の実力が上がれば上がるほど、レース中のミスは少なくなる傾向があるからです。私も現役時代はレースで大本命になり、1着を「義務づけられた」時代もありました。お客さんから投票してもらった「責任」があるのです。そんな重圧を感じながらレースをしていて結果を残して上に残り続けました。2連単オッズで同じ5倍ならSGレーサーが本命を背負う方が安心感はあります。私も年齢を重ね、衰えていくと「人気」になっても、ミスをして人気を裏切る事も多くなりましたから。ですので、大きなお金を投じるなら、青山(周平)くんや(鈴木)圭一郎くんなどのオートレース業界を代表するレーサーが本命を背負っているレースで、試走の動きなどを加味して「これなら大丈夫」というレースがベストです。

 オートレースは他競技と異なり、天候によってレース展開が一変します。私も現役時代に雨で特別レース(今のSG)を制しました。当時はお客さんから『雨光雄』なんて言われたものです。雨が降るとだいたい1着でした(笑)。雨は得意・不得意がはっきり分かれます。ですので、試走タイムが出たからといって「雨が苦手」な選手は要注意です。そこは「雨の連対率」を見てください。ただ、気をつけたいのが、古いデータだけではなく、最近のデータが特に大事。私も「急に雨が乗れなくなった」という時期もありましたので、連対率と一緒に「直近の成績」を重視した方が良いですね。
 最後になりますが、今、私が携わるロードレースは排気量1000ccだと時速300キロくらい出ます。人を抜くのも一瞬ですので、迫力がある訳ではありません。ただ、オートレースは出走する全員が同じ排気量(新人は別)で大きなスピードの差が無く、コーナーでの接戦が連続する競技です。そして強い人が後ろから走りますので、接戦しながら抜いていく迫力こそがオートの醍醐味といえます。そこを楽しみながら、車券も当てて、オートレースを楽しんでくださる事を心より願っております。

 まずオートレースを初めて予想する時に重要視するのが〝試走タイム〞。その日のエンジン状態を100m何秒で走ったのかを計測して発表。特にオートレース初心者の方は、試走タイムが速い選手を中心に車券を買うことが多いと思います。もちろん試走タイム通りに決まることもありますが、それでは人気の決着も多く高配当にはなかなかなりません。では、どうやって高配当・高回収率を狙うのか。私が穴を探す際に重要視するのが〝試走偏差〞です。試走偏差とは、試走と競走タイムとの差のことで、試走偏差が小さいほど試走タイムに近いレースができるということ。例えば、A選手の試走偏差が0.100で試走タイムが3.30だと大体の上がりタイムが3.400になります。B選手の試走偏差が0.080で試走タイムが3.30だと大体の上がりタイムが3.380となります。このことから、同じ試走タイムでも試走偏差が違えば、B選手の方が上がりタイムが良くなり先着すると予測できます。オートレースには距離のハンデがあり一概には言えませんが、試走タイムが他の選手よりも出ていない選手でも、試走偏差が小さい選手であれば十分戦える余地はあるということです。あとは、グレードレースで人気が集中してる時こそ少しずれれば穴が出ます。10月に飯塚で行われたGⅡオートレースメモリアル優勝戦では頭鉄板人気の青山周平選手が2着、地元岩見貴史選手が1着となり2連単3920円とつきました。3連単は6400円と2連単がおいしい結果に。無理に3連単ではなく2連単で穴を厚めに買うのも高配当・高回収率GETのコツかもしれません!
 

AKI/プロフィール
福岡を中心にタレント・MCとして活躍。元飯塚オートレース場イメージガール「勝利の女神」3代目。全国のオートレース場イベントのみならず、予想配信に数多く出演。