
男子選手NO.1を決める一発勝負のレース「KEIRINグランプリ」
KEIRINグランプリ(以下GP)は約2,200人いる男子選手のNO.1を決める一発勝負のレースで、その年のGI優勝者、賞金上位者の9選手だけが出場できる頂上決戦だ。12月30日に行われ、優勝賞金は1億円を超える。公営競技で最も賞金の高いレースだ。
売り上げ浮揚策の一環として1985年(昭60)、立川競輪場で誕生した。当時、競輪のビッグレースは6日間のトーナメントで、ファンは選手の調子の善しあしを自分の目で観察して予想の参考にしていた。一発勝負だと調子が分からず、受け入れられるか不安の船出だったが、ふたを開けたら取り越し苦労に終わった。トップ9のドリームマッチに約4万人が押し寄せ、暮れの立川は熱気と歓声に包まれた。初代王者はミスター競輪・中野浩一で、その後も時代を築いた男たちが名を刻んでいる。92年にF1先行・吉岡稔真が初出場初優勝の快挙を達成し、GPの位置付けが確固たるものになった。01年のグレード制の導入で、GPが最高ランクに格付けされた。04年に優勝賞金1億円になり、すべての男子選手の目標であり夢になった。出場した選手は翌年、S班に格付けされ、GIの優先出走権などを得られる。優勝者は1年間、1番車の白いユニホームをまとう。
昨年のGPは平塚競輪場で行われ、実力NO.1の脇本雄太が人気に応えて初優勝した。4人そろった北日本ラインの先頭・新山響平が先行したが、単騎の松浦悠士が北ラインの分断に出た。8番手の脇本が打鐘すぎから猛然と襲いかかる。最終バックでは先頭に立ち、マークした古性優作を振り切りゴールした。過去、逃げて2度2着に泣いていたが、4度目の出場で頂点に立った。公営競技での年間最高獲得賞金となる3億円超えも達成した。
脇本は16年リオ五輪、21年東京五輪に自転車競技で出場し、世界の強豪を相手に脚力をつけた。競技を引退し、本職に専念した22年は5月日本選手権、8月オールスターを圧倒的な機動力で制した。S級の最多連勝記録となる21連勝(従来は94年吉岡の18連勝)を樹立した。もはや敵無し状態。先行無双のニックネームもついた。ライバルは打倒脇本へ策を練るが、異次元のスピードで粉砕した。22年のGPは、脇本1強時代の到来を予感させるものだった。
成長著しい若手の台頭により激戦は必至!
29日のガールズグランプリ(以下GGP)は今年GP格付けされた。女王・児玉碧衣がパールカップGI、パリ五輪を目指す佐藤水菜がオールガールズクラシックGIを優勝し出場権を得た。トップ2を追う、急成長の久米詩、吉川美穂も賞金上位で出場する。この2人はキャリアは浅いが、ダッシュ力と冷静なレース判断力を持ち合わせている。久米はパールカップ準優勝、吉川はオールガールズ準優勝し大一番の実績がある。優勝ラッシュの尾方真生や石井寛子らも続く。トップクラスのガールズは、先行逃げ切りはなかなか難しい。いかに好位を確保できるかがカギとなる。その中でも世界を相手に力をつけている佐藤のダッシュ力は一枚抜けている。オールガールズ決勝では児玉の逃げを一気にまくった。初優勝に最短距離の存在だ。
28日のヤンググランプリは、119、121期生のトップ9人が出場する。今年の世界選手権ケイリンで銅を獲得した中野慎詞、GI常連の犬伏湧也、ナショナルチームの太田海也、元Jリーガーとして初めてグレードレースを制した北井佑季に吉田有希、志田龍星、橋本壮史、山根将太、上野雅彦が出場する。将来の競輪界を担う若手の激戦にも注目したい。
GP王者※過去5年間
- 18年 三谷竜生(奈良)
- 19年 佐藤慎太郎(福島)
- 20年 和田健太郎(千葉)
- 21年 古性優作(大阪)
- 22年 脇本雄太(福井)
今年のKEIRINグランプリは12/30(土)開催!